知らないと怖い?自賠責保険(強制保険)の基本の『キ』

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、強制保険ともいわれている全ての車やバイクが加入しなければいけない保険のことです。

 

自動車損害賠償法という法律によって加入が義務付けられています。

 

なんとなく強制だから加入していても、いざというときの自賠責保険の役割や使い方ご存知ですか?

 

もし自賠責保険に加入せず自動車を運転してしまうと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、免許停止処分(違反点数6点)という、重い処分が下されてしまいます。

 

そして自賠責保険証明書という自賠責保険に加入した際に、発行される証明書を車に備え付けていない場合も、30万円以下の罰金という想像以上に重い処分が下されてしまいますので、必ず車検証などと一緒に車に備え付けておきましょう。

自賠責保険の特徴

自賠責保険は、交通事故で被害にあった方の最低限の対人賠償の支払いが目的とされています。

 

そのため、物損事故においては補償対象外になります。

 

たとえば、事故の際にガードレールや電柱、壁や家などを壊してしまっても賠償保険金は支払われることはありません。

 

また、自賠責保険では運転者とその自動車の持ち主(所有者)は補償されません。

 

そして、被害者1名ごとに支払い限度額があり、自賠責保険の保険金・損害賠償金の上限は下記のとおりです。(平成28年1月現在)

 

死亡事故の場合

・死亡による損害         3,000万円

・死亡までの傷害による損害    120万円

 

傷害事故の場合

・傷害による損害         120万円

・後遺障害による被害

 

後遺障害の程度に応じた等級によって決まります。

第1級    4,000万円 または 3,000万円

第2級    3,000万円 または 2,590万円

第3級    2,219万円

第4級    1,889万円

第5級    1,574万円

第6級    1,296万円

第7級    1,051万円

第8級      819万円

第9級      616万円

第10級     461万円

第11級     331万円

第12級     224万円

第13級     139万円

第14級      75万円

このように限度額が決められています。

 

被害者に多少の過失割合がある場合でも、この決められた金額は被害者1人ごとに決められているため、1度の事故で複数の被害者がいる場合でも、保険金・損害賠償金の額が減額することはありません。

 

しかし、被害者に重大な過失割合がある場合には保険金・損害賠償金が減額されてしまいます。

 

過失割合による死亡と後遺障害の減額割合

・7割以上8割未満     2割減額

・8割以上9割未満     3割減額

・9割以上10割未満    5割減額

 

傷害の減額割合

・7割以上10割未満     2割減額

となります。

被害者の過失割合が100%の場合は保険金が支払われることはありませんので注意が必要です。

自賠責保険の請求方法

自賠責保険には2通りの請求方法があります。

 

加害者請求と被害者請求の2通りです。

 

加害者請求とは、事故により怪我や負傷をさせた加害者が被害者に賠償金を支払い、後に加害者が自賠責に請求するという方法になります。

 

被害者請求とは

事故により怪我や負傷をした被害者が相手の加害者の自賠責に請求するという方法になります。

 

一般的には加害者請求によって保険金・損害賠償金が支払われているのですが、事故をおこしてしまった加害者が直接被害者に対して支払ったことがある方は少ないと思います。

 

なぜなら、多くの事故では任意保険会社が加害者の肩代わりをして被害者に対して支払いを行っているからです。

 

ですが、中には任意保険をかけておらずに事故を起こしてしまう場合があります。

 

そういったパターンの事故だと、加害者が損害賠償金をなかなか支払われなかったり、話の折り合いがつかない場合も実際では多数起こっているのが現実です。

 

そういった場合に、被害者が直接加害者の自賠責保険会社に請求を行って保険金を受け取ることが出来るのが被害者請求になります。

 

被害者請求は自賠責保険が被害者の最低限の対人賠償の支払いが目的とされている保険のため、加害者の承諾などは必要なく、いわば一方的に請求出来るといった制度になります。

 

この事実を知らないと、話の折り合いがつかないばかりか賠償金を一切受け取ることなく泣き寝入りしてしまう可能性があります。

 

実際に筆者の身の回りでも任意保険に加入していない車の過失での事故でけがをした上、乗っていた車が廃車になったにも関わらず、事故後に過失相手からの賠償金などが、一切支払われずに裁判にまでなった案件も数件ありますので、自分だけにはそんなことは起きないだろうという考えは危険です。

 

そして、被害者から請求出来る仮渡金制度(かりわたしきんせいど)という制度も自賠責保険にはあります。

 

仮渡金制度とは、被害者が加害者の自賠責保険会社に直接請求出来る被害者の治療費や、死亡させてしまった場合の葬儀代など、急な必要な出費を先に支払う制度で、約1週間程度で受け取ることが出来ます。

 

事故で被害に遭ってしまい、治療の期間が長引いてしまうと治療費がかさんでしまい、生活費を圧迫してしまい被害者なのに負担が増えてしまうと大変です。

 

仮渡金を受け取れる額は下記のとおりです。

 

被害者が死亡事故の場合

290万円

 

被害者が傷害事後の場合

・14日以上入院、かつ治療30日以上を要する場合

40万円

・14日以上入院、もしくは入院を要する傷害で治療を要する期間30日以上のもの

20万円

・治療を11日以上要する場合

5万円

 

といった額が仮渡金制度によって自賠責保険会社より支払われます。

 

当然ですが仮渡金を被害者が受け取れば、仮渡金という名前の通り、最終的に支払われる損害賠償金を先に支払うという制度なので、最終的に支払われる損害賠償金は先に支払われた仮渡金の分は差し引かれた金額が支払われることになります。

 

仮渡金を請求して自賠責保険会社から仮渡金を先に受け取っても、損害賠償金として支払われるトータルの金額としての変わりはありません。

 

仮渡金で気をつけなければいけない点は、加害者から損害賠償金の支払いを受けている場合は仮渡金を請求することは出来ません。

 

また、仮渡金は被害者からのみの請求が可能になります。

 

自賠責保険の請求には時効があります。

 

被害者請求の場合、事故が起こった日から3年以内になっています。

・傷害の場合    事故の翌日から3年

・後遺症の場合   症状固定日の翌日から3年

・死亡の場合    死亡の翌日から3年

 

加害者請求の場合

・被害者に賠償金を支払った日から3年以内となっています。

ですが、時効の起算日が必ずこの通りになるとは限りませんので注意が必要です。

自賠責保険料(共済掛金)について

自賠責保険料は各社一律設定となっており、保険料に違いはありません。

 

自賠責保険の保険料は毎年1月に、4月からの保険料について審議が行われ、金融庁の「自動車損害賠償責任保険審議会」によって毎年改定されています。

 

「ノーロス・ノープロフィットの原則」に基づいて決められており、ロス=損失、プロフィット=利益なので、自賠責保険会社として損失が出ないが利益も出ない収支、つまり『トントン』の状態になるように決められています。

 

よって、保険料収入と保険金の支払いが同じレベルになるように調整されています。

 

保険料は、乗用車・軽自動車・250cc超のバイク・原付きなどの車種別、保険期間別に保険料が決められています。

自賠責保険の範囲を超える事故の場合

大きな事故を起こしてしまうと、被害者に対する賠償金が自賠責保険の支払い限度額を大きく超えてしまうケースも多々あります。

 

自賠責保険ではまかないきれない分を、補償するのが任意保険になります。

 

車検を受ける際に、車検有効期間がすべて自賠責保険の加入期間に含まれていなければ、車検をうけることが出来ないので通常は大丈夫なはずですが、車検が切れた状態と気づかずに、走行してしまったなど絶対にないとは言い切れません。

 

もし自賠責保険に未加入で、事故を起こしてしまうと損害賠償は全て加害者負担になってしまい、ひいては運転者の人生にも関わってくるほどの賠償金と刑事罰、そして被害者の人生にも大きな影響を与えてしまいます。

 

きっちりと自賠責保険、任意保険の確認をしておきましょう!

自賠責保険のまとめ

・強制保険なので、全ての車やバイクが加入しなければならない。

 

・物損事故では、一切の補償はされない。

 

・交通事故で被害にあった方の最低限の対人賠償の支払いが目的とされている。

 

・被害者1名ごとに支払い限度額がある。

 

・加害者請求と被害者請求の2通りがある。

 

・被害者から請求可能な仮渡金制度がある。

 

・被害者から直接請求が可能。

 

・自賠責保険の請求には時効がある。

 

さらに詳細な内容、料金などは下記リンク(国土交通省提供)よりご確認ください。

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